日本の地方港とアジアの主要港が
直接つながることで見えてくるもの
国際的な海上輸送の入出港はその大半が、横浜や神戸などメガポートに集約されていました。それは、できるだけ大型のコンテナ船で大量の貨物を集約して運ぶ方が効率的と考えられており、港の水深や荷役設備、通関業者、運送業者の数などが大型船用に揃っていたためです。
しかし、実際にはそこから全国各地へトラック等の陸路で輸送されるため、主要港までの距離がある国内の輸出入者にとって、コストや期間、また環境面(排出ガス等)から、必ずしも最適な輸送とならない場合がありました。
神原汽船ではこうした課題に、1994年から中国の主要港と日本の地方港を結ぶ定期コンテナ航路を開設する他社と違うアプローチで迫りました。主に中国の上海・寧波・大連・青島などの主要港と九州・瀬戸内・日本海諸港などの地方港を直接結んでいます。貨物ごとに消費地に近い港で荷揚げすることで陸路等での二次輸送を最小限に抑え、コストや輸送時間の削減、環境負荷低減を実現しています。
新たな海運ルート開拓が
お客様と地域・社会の活力に
地方港への直接的な海運ルート開設のメリットはお客様のコストや輸送時間の削減だけではありません。陸送距離を短縮することによる排気ガス削減等の環境対策や、慢性的に人材不足が深刻化しているトラックドライバーの労働環境の改善のほか、昨今問題になっている主要港のターミナルや周辺でのトラックの長時間の待機や交通渋滞による地域・社会の経済的損失の軽減にも貢献します。
それだけでなく、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災では被災によって港湾機能が失われた地域の代替輸送ルートとして神原汽船の日本海航路が活用されたことから、BCP(事業継続計画)の一環として主要港一極集中を見直す企業による利用が拡大しています。
さらに副次的な効果として、地方港のインフラ整備を促進する効果も得られています。貨物には様々な種類があるため、輸出入に必要となる手続きや荷役、保管、輸送など、港湾を中心として多岐にわたる業務や設備が整備され、そのことが地方物流の促進につながっていきます。
中国と日本の地方港を結ぶ定期航路を長年展開してきた神原汽船は、そのノウハウを活かし、今後ますます拡大する日本と東南アジアの海運ネットワーク構築にも対応してまいります。