豊かな海を守るために私たちができること。
バラスト水問題への取り組み

バラスト水とは、船体のバランスを安定させるために、貨物が軽くなった量に応じて船体に取り込む海水です。取り込みを行なった地域の海水であるバラスト水には、さまざまな海洋生物が含まれています。バラスト水はその性質上、取り込んだ場所と排出する場所が異なることから、含まれていた海洋生物が他の水域で「外来種」となり、そこで繁殖することで、生態系に悪影響を及ぼすことが問題となっています。

 

この問題は、2004年に国際海事機関でバラスト水管理条約として採択されたものの、発効されたのは13年後の2017年となりました。発効までに時間がかかったのは、基準を満たせるバラスト水処理装置の設置コスト増加の問題などから、批准する国が伸び悩んだことが原因でした。

 

海運・造船事業に関わる常石グループでは、海上輸送を担う企業として海洋生態系を守ることが使命であると捉え、条約採択直後から自社で建造する船舶へのバラスト水処理装置の設置に取り組み、条約発効前の2014年以降は、すべての引渡船に標準搭載してきました。また、常石造船修繕工場では既に運航している船舶に対するバラスト水処理装置の搭載/改造工事を積極的に行いました。改造のための設計、工事、営業などの体制づくりを行ったこともあり、多くの船舶へ搭載実施しています。

 

バラスト水問題への対応は、地球全体でみれば生物多様性を守ることにもつながります。今後も環境負荷の少ない船造りを通じて、豊かな海を守り、次の世代に繋げていきます。