<常石グループ 2018年度 連結業績報告> 造船、海運、環境、エネルギー、ライフ&リゾート 市況回復と需要に対応し全事業で増収
ツネイシホールディングス(本社:広島県福山市沼隈町常石1083番地、代表取締役社長:神原宏達 以下、ツネイシホールディングス)の2018年度(2018年1月~12月)の連結売上高(ツネイシホールディングス含む46社)は、前年比20.4%増の2,193億円でした。セグメント別売上高では、造船事業が前年比11.9%増の1,531億円、海運事業が前年比40.5%増の392億円でした。環境事業は、前年比0.1%増の119億円、エネルギー事業では、前年比9.3%増の259億円、ライフ&リゾート事業では、前年比9.0%増の145億円となりました。2019年度の連結売上高は、2,399億円を見込んでいます。
中核事業である造船・海運業界では、世界的な新造船建造量のゆるやかな減少や新たな環境規制の発効によって新造船の需給が引き締まり、海運市況の回復基調が継続しました。造船事業は前年に比べて船価の高い船の竣工・引き渡しが増加しました。海運事業はドライバルク市況の回復によって傭船料が高まったほか、海上コンテナ輸送量が増加しました。環境事業とエネルギー事業においても、廃プラスチック処理の拡大や電力小売といった新サービスを開始し、ライフ&リゾート事業では人気アトラクションを増強するなど、市場とお客さまのニーズに応える設備の充実化やサービスの質を高めることによって、全事業セグメントにおいて前年比増収となりました。依然として、海運市況の変動性や為替、各国の貿易政策などのリスク要因に注視が必要ではあるものの、常石グループ各社は、持続的な競争優位を創造するために経営基盤の強化に努めます。
【造船事業】
<市場ニーズを捉えた多様な船種で増収を継続>
2018年は前年同水準の40隻(前年41隻)を建造しました。前年に多かった小型船が減少し、主力の外航船が増加したことが増収に貢献しました。新たに開発した石油精製品運搬船(プロダクトタンカー)1番船が2019年3月、中国の造船拠点で竣工するなど、従来より主力のばら積み貨物船以外の船種の建造割合が事業全体で2割を超え、進めてきた船種の多様化が着実に実績を重ねています。海運市況のゆるやかな回復基調と市場のニーズを的確に捉えた商品展開によって受注も堅調に推移し、2019年以降は建造隻数の増加とさらなる増収を見込んでいます。
<中型3船種を主力とし技術と品質の高度化で競争力高める>
常石造船では今期以降もこれまで進めてきた、ばら積み貨物船、コンテナ運搬船、タンカーの3つの船種における中型クラスを主力商品として位置づけ、技術と品質を高めることで市場シェアを拡大していく考えです。国内拠点では、自動化やIoTの活用など高効率の生産技術の開発と導入を進めます。それらの新たな技術を、培った高い建造技術と品質管理の手法とともに海外拠点に展開することで、グループ一体となった人材育成の強化と競争力の向上を図ります。
【海運事業】
<最新鋭船の船隊導入と航路編成の最適化で需要取り込む>
船主業および不定期船事業では、ドライバルク海運市況の上昇による傭船料の高まりによって傭船収入が増加したほか、最新鋭船の整備によって需要機会を捉えたことで売船収入も伸長しました。定期船事業では、日中間のコンテナ輸送に引き続き回復がみられ、スケジュールの改編で利便性を高めた東南アジア発着輸送の増加と合わせ、コンテナ輸送量が前年比9.4%伸びたほか、神原ロジスティクスを活用した東京での貨物取り扱いが増加し、業績の向上に貢献しました。船舶管理事業では、シンガポールの海外子会社がノルウェー支店を開設し、欧州での受託拡大の基盤を整えました。
<サービスの質向上によって競争力を高め経営の安定化を図る>
神原汽船では2019年に自社船隊に新たにタンカー(LR1)を加えたほか、燃費効率が高く国際的な環境規制に対応する最新鋭船への代替を進め、市場ニーズに的確に対応する船隊整備を進めます。定期船事業では、他船社との提携を活用し、経済成長に伴う物流量の増加を見込むフィリピン、ベトナム、インドネシアなど東南アジアにおけるコンテナ輸送量の拡大を目指します。船舶管理事業では、シンガポールの専業子会社と連携し、管理体制の構築や船員育成の施策を重ねサービスの質を高めるなど、それぞれの事業の競争力を高めることで経営の安定化を図ります。
【環境事業】
<処理能力の拡大で廃プラ処理の需要増に対応>
2017年6月に発表された中国の廃プラスチック輸入制限によって国内で廃プラスチック処理の需要が高まったことを受け、ツネイシカムテックス福山工場では2018年2月に設備を一部更新したほか、福山市の許認可により焼却能力を10%高め、東北から九州において営業活動を活発化したことで、高単価廃棄物の受注が増加しました。
子会社の東広商事(東広島市)で工場拡張を進め、2019年5月から廃プラスチックの燃料化設備が稼働開始の予定です。従来、年間1.4万トンの処理能力を2.4万トンに拡大し、国内の旺盛な需要に応えていきます。
<リサイクル率向上と一般廃棄物事業の拡大めざす>
ツネイシカムテックス埼玉工場では2018年6月、有価金属回収事業などの強化に向け、隣地にある7,000平方メートルの建屋を取得しました。11月には、マレーシアのリサイクル企業と提携し、銅やスズなど有価金属回収の技術習得と販路の開拓を進めています。
さらに、埼玉工場、東広商事では研究棟の新設も同時に進めるほか、福山工場では新たな焼成炉の建設計画に着手します。高度な研究技術と拡大した処理能力を活用し、リサイクル率の向上を図るほか、現在は全体の20%にとどまっている一般廃棄物処理事業を近い将来に40%まで伸ばす考えです。
【エネルギー事業】
<新サービスによる事業拡大と既存事業の収益維持を図る>
国際的な原油価格の上昇に伴い、ガソリンなど石油製品価格が上昇し、増収につながりました。ツネイシCバリューズでは新たに一般家庭向けの電力小売業を開始したほか、石油製品の販売を担うSS店舗を一部リニューアルするなど、既存事業の収益を維持しながらも事業拡大やサービスの質の向上を図りました。
<ノウハウを活用し海外市場の需要に応えるサービスに着手>
車両に関する知見を生かし、海外事業の拡大を目指します。経済発展に伴う交通量の増加で大気汚染が問題となっているフィリピンで、交通手段として多用されているジプニーの電気自動車化事業に着手しています。国内では、需要の増加が見込まれる自動車の中古部品再生事業を展開するなど、石油製品販売の事業収益を維持するとともに、国内外において新規事業の開発と拡大に取り組んでいます。
【ライフ&リゾート事業】
<人気アトラクションの増強で過去最高の来場者数を達成>
主力施設であるみろくの里やベラビスタ スパ&マリーナ 尾道などでの利用者増加が業績向上に貢献しました。みろくの里では、2017年に登場した人気アトラクション“ダイナソーパーク”の設備増強や冬季イルミネーションをリニューアルするなど、既存設備を有効活用し子どもから大人まで楽しめる多彩な企画を年間を通じて開催し、年間入場者数が過去最高を記録しました。ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道では、リピーター客を重視した顧客ロイヤルティの強化に取り組んでいます。
みろくの里では今年、開園30周年を迎え、新たなアトラクションの導入などサービスを増強し入場者数の増加を図るほか、ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道では、インバウンド客の誘致を目的に英語での情報発信に着手しました。ライフ&リゾート事業内の再編による事業連携の強化で、価値創出を図り、瀬戸内の景色と食、文化など地域の魅力を発揮するサービスで地域の活性化につなげる考えです。
― 本件に関するお問合せ先 ―
ツネイシホールディングス
マーケティングコミュニケーション部
担当:岡本、橘高
TEL: 084-987-4915
pr@tsuneishi.com